建築会社の事務で孤立して延長せず

就職活動を始めた頃は正社員じゃないと働きたくないと思っていましたが、度重なる不採用の連続で心が折れていき、次第に働けるならどんな形態でもいいと思うようになりました。

そこで登録をしたのが大手人材派遣会社のP。ネットで簡単なプロフィールを作成してアポを取り、後日派遣会社に赴いて正式に登録をして、登録者に合う案件を探してもらいます。私の場合はすぐには見つからず、数日経った頃にメールで派遣先の紹介がありました。内容は郊外にある建築会社の事務で、ワードやエクセルなど基本的なパソコンの操作ができるなら誰でも可能だとのこと。私は建築の知識は全くありませんしお給料は決してよくありませんでしたが、この案件は急募で今ならすぐに決まるというコーディネーターの後押しもあり、申し込むことにしました。

早速次の日に顔合わせの日程の連絡があり、数日後に派遣会社のコーディネーターと一緒に先方に伺うことに。すでに派遣先が決まったような気分で浮かれていました。顔合わせの日、待ち合わせの駅でコーディネーターと待ち合わせて建築会社の事務所に行きました。その距離、駅から歩いて5分ほど。通勤が楽であることは大きなメリットです。広い駐車場を抜けて事務所に入り、先方の所長さんに挨拶をしました。てっきり面接のように色々聞かれると思いっていましたが、聞かれるのはどこに住んでいるのかとかいつから来れるのとか、まるで私の就業がすでに決まっているかのような質問です。15分ほどの顔合わせの後は、事務所内を見学。作業服や制服を着た人たちが、笑顔もなくジロリと見てきます。溶け込みにくい印象でしたが、最初だけだろうと思って深く考えずここで働くことを決めたのです。

派遣出勤初日、緊張のあまり早く会社に着いてしまい、社内にはまだ2、3人しかいませんでした。「おはようございます!」と挨拶をしても、顔を見せずに「おはようございます…」と暗い挨拶が返ってきます。次々に出勤する人たちも同様で、私の教育係である中年の女性は挨拶も返ってきませんでした。

私の仕事は電話の問い合わせ対応、売り上げのデータ入力、ファイル管理など。電話の問い合わせは内容があまりにも専門的すぎるので答えられず、会社の人に取り次いでいるだけで惨めな気分になってきます。そこで電話対応のやり方を聞いても、「あ、いいよ、電話代わってもらえれば」と教える気もない様子。しかし意地悪のような感じは一切なく、どちらかというと教えるのを面倒臭がっているように感じました。

売り上げのデータ入力は、非効率極まりないもの。誰かがエクセルにまとめた日ごとのデータをプリントアウトした紙があり、それを私が違うエクセルにひたすら打ち込んでいくという作業です。もちろん個々の会社なりのやり方があるとは思いますが、もっとどうにかできないものか…そう思って社員さんにそのことを聞いてみると、「あなたは与えられた仕事をしていればいいから」と、笑顔で言われたのです。

ファイル管理に当たっては、日にちがバラバラになった報告書や請求書を日にちごとに並べて紙に穴を開けてファイリングしていくという、小学生でもできるような作業。すぐに終わって「他に手伝えることはありますか?」と聞いても「それ終わったら帰っていいよ」とまで言われたのです。

その会社に派遣されたばかりの頃の私はやる気に満ちて張り切って出社していましたが、派遣社員への排他的な態度と業務進行に嫌気がさし、意を決して建築会社の上司に相談をしてみました。すると私のポジションに就いた派遣社員は今年でもう5人目だといいます。今までの人がなぜ辞めたのかは教えてもらえませんでしたが、社員が団結して派遣社員を追い出そうとしているのか、それとも業務があまりにも退屈で自ら辞めてしまったのか。それからしばらくは勤めましたが、毎日ほぼ誰とも会話もなく単調すぎる仕事内容と環境に疲れてしまい、派遣延長希望を出さずに辞めてしまいました。

就職難でとにかくすぐに働くたいと思って決めたこの建築会社。私ももっとよく吟味して先方にも就業前にいろいろ質問するべきだったと反省しています。少なくとも急募で募集している案件には特に注意を払うようになりました。