派遣社員を見下している使えない正社員

遠方の人と結婚するため、正社員で働いていた会社を寿退職をしました。結婚後、新しい土地で職探しをし、派遣会社に登録したところ、3年間という契約で派遣先が決まりました。

派遣先は地方のテレビ局です。主な業務内容は、放送する前の番組を見ながら画像の乱れや音声の乱れ、放送禁止用語やテロップの文字など、さまざまなことをチェックすることです。同じ業務には、正社員1人、派遣社員3人で取り組んでいました。

それぞれ担当番組を持ち、担当番組の割合はほぼ同率だったのですが、派遣として働き始めた二年目に、正社員の人事異動があり定年間際の正社員がやってきました。その正社員(仮にAさん)がまったく仕事のできない人で、派遣社員の半分以下の番組しか担当しなくなりました。

最初は仕事に慣れるまでのことだと思って我慢していましたが、3か月経ち、半年経ってもAさんの仕事は増えず、逆に数が減らされる始末。もちろん、その負担は3人の派遣社員に割り当てられます。派遣社員は残業手当もありませんし、残業しようとすると「派遣会社から苦情がくるから時間内に終わらせろ」と部長に注意されてしまいます。しかし、正社員は残業手当が出ますから、私たちの半分以下しか担当番組を持たないAさんは毎日残業していました。なぜなら、昼間はほとんど職場にいないからです。

体調不良だとかで医務室で休んでいたり、ほかの部署のお友達とお茶をしていたりするのです。そんなことをしていても正社員として私たち派遣より高いお給料をもらい、残業手当までもらっているのが納得いかず、派遣社員3人で部長に「せめて担当番組を平等に振り分けてほしい」と何度か掛け合いましたが「仕事のできない正社員よりも派遣社員に任せた方が安心だから無理」とわけのわからないことを言われました。

結局、Aさんの仕事量が増えることはなく、派遣社員は残業することもできないので休憩時間を削って仕事をする毎日でした。しかし、それをちゃんと見てくれている正社員も多くいらっしゃって、派遣社員3人のストレスが爆発する前に、スイーツの差し入れや、お茶やランチに誘ってくださり、愚痴や不満を聞いてくださいました。それでAさんのことが解決するわけではありませんが、ちゃんとわかってくれる人がいる・・・ということがわかっただけで、派遣社員3人の心は随分と穏やかになりました。

Aさんとの関係は契約期間が終わるまで良くなることはありませんでしたし、何度も衝突してそのたびに正社員の力を振りかざしているAさんに周囲の正社員がヒク姿を何度も見ました。仕事ができないくせに、派遣社員3人を「所詮正社員になれない派遣社員だし、若いから人生経験が未熟でバカに決まっている」と決めつける姿は本当に滑稽でした。

派遣社員として働いた3年間で、いろいろな正社員を見ることができました。Aさんのように派遣社員の半分も仕事ができないのに「派遣社員のくせに」と最初から上から目線で見下しているような人間もいれば、雇用形態の差を感じさせないほど対等に接してくださる方もいらっしゃいました。対等に接してくださっていた方とは、現在も年賀状のやり取りがあったり、近くへ行ったときには一緒に食事に行ったり、逆に、その方が出張でこちらへいらっしゃるときには連絡があるので食事に行ったりします。同年代の正社員とはSNSで繋がっている人もいます。

派遣社員として働いたのは初めてのことでしたが、正社員と同じ仕事内容を求められたことに驚きました。ドラマなどでは派遣社員と正社員の仕事内容は区別されていたり、責任の重さが違ったりしているように感じていましたが、むしろ、派遣社員のほうが正社員より担当番組が多いということで責任も重かったと思います。テレビ局と言う特殊な現場だからかもしれませんが、Aさんとの衝突も含めて良い社会勉強になりました。